日本料理屋さんや旅館などで、食事の前や食事中は「煎茶」が出てきて、食事が終わる頃には「ほうじ茶」に変わって出てきたことありませんか?
食前、食後で出すお茶を変える。
実はこれってお茶の成分や特性を生かしたお店や旅館の細やかな心配り。お茶の種類とその出されるタイミングには、それぞれ意味があるんです。
食事の前の煎茶で食欲アップ
食事の前の煎茶は、おなかを温めて食事のウォーミングアップのように、ほどよく胃を刺激します。煎茶に含まれるカテキンの抗酸化作用、殺菌作用で、食事を頂く前に口の中をさっぱりさせる、という役目もあります。
美味しい煎茶を食事前にいただいてると、食欲が沸いてくるような気がしませんか。
食事中の煎茶は血糖値の上昇を緩やかに
食事中の煎茶は、食前同様口の中をきれいにするので、料理ごとの味わいを存分に楽しめます。
また、煎茶に含まれる多糖類は、血糖値の急激な上昇を抑える役割もしてくれます。血糖値の急激な上昇は、血糖値スパイクといわれ、健康に悪影響を及ぼすことで最近話題になっています。食事中の煎茶はその対策になるかもしれませんね。
食後には胃にやさしいほうじ茶を
ほうじ茶は焙煎されることで、煎茶に比べて鉄分の吸収や消化の妨げとなるタンニンの含有量が少なくなります。そのため食後のほうじ茶は胃に負担がかからず、食後にいただくのには最適なんです。また、熱いほうじ茶は、口の中のべたつきや食べかすを流し、香ばしい風味で口の中もすっきりさせてくれます。
JALのファーストクラスの機内食でもやはり最後は「ほうじ茶」なんだそうですよ。
お寿司屋さんで熱い煎茶が出てくるのは?
お寿司屋さんのお茶というと、定番は大きな厚めの湯呑みであっつ熱の緑茶が出てきます。実はこれにもお寿司をおいしくいただくための、お茶の特性を生かした知恵が込められているんです。
熱いお茶でリセット
脂分の多いネタを食べた時に口に残ってしまう脂を洗い流し、解消してくれます。
脂は熱に溶けやすい性質なの、あえてのあっつい!お茶。これで次のネタの味の邪魔せず、おいしくいただけるのです。
湯のみも大きく厚めなのは、お茶が冷めないための知恵なんですね。
カテキンで食中毒予防
緑茶に含まれるカテキン殺菌作用が、生魚や細菌に対して食中毒予防の役割をしてくれます。
食後、口の中の生臭さ口臭予防などにも有効です。
お寿司屋さんのお茶といえば「粉茶」のイメージがあります。
煎茶を作るときにできる、茶葉の切れ端の粉状のものを集めて作られたのが粉茶。味、品質、香りは、煎茶と同じく良質。
粉状なのでお湯に溶けやすく、色や味も濃く、有効成分が抽出されやすいので重宝されているようです。
お茶そのものが体に良いことは周知の事実ですが、その場に合った種類や飲み方でより効力を発揮してくれるんですね。