日本茶の「浅蒸し」と「深蒸し」ってなにが違う?

スーパーなどで販売されている煎茶のパッケージによく見かける「深蒸し」という表示。価格が手頃なものでも、色も味もよくでるお茶として「深蒸しのお茶」は最近よく売れているようです。

でも、緑茶には、深蒸しの他に、「浅蒸し」「中蒸し(普通蒸し)」があります。このお茶の「蒸し」とはなんでしょうか?

蒸し時間のちがいでかわる。

お茶は茶葉を摘んでから商品になるまでに、多くの工程が必要です。

<お茶が仕上がるまでの工程>
【摘む】→蒸す→揉む→乾かす→【荒茶】→分別→火入れ→合組(ブレンド)→【仕上げ茶】

摘んだ生茶葉は酸化発酵を止めるために最初に蒸します
この「蒸す」という工程は、酸化発酵を止める役割だけでなく、お茶の味や香りも決める大切な工程です。

「浅蒸し」や「深蒸し」はこの蒸す時間の違いのことで、蒸し時間が短いのが「浅蒸し」。長いのが「深蒸し」です。

ちなみに、蒸さずに発酵させて作ると烏龍茶や紅茶になります。

蒸す時間が長くなることで「深蒸し」は葉が柔らかくなり、揉む工程で葉が砕けるため細かい茶葉を含むのが特徴です。「浅蒸し」は、逆に針のような細い整った茶葉が特徴です。

種類 蒸し時間 見た目
浅蒸し茶 10秒〜30秒程度 整った細い茶葉
中蒸し茶(普通蒸し) 30秒〜1分程度 中間
深蒸し茶 1分〜3分程度 細くなった茶葉を多く含む

浅蒸し茶は黄色、深蒸し茶は緑

お茶を入れたときの色もちがいます。浅蒸し茶は、黄金色のような薄い黄色。深蒸し茶はにごりもある濃い緑色です。

普段、深蒸しの煎茶を飲みなれていると、浅蒸しのお茶は「あらっ、出がらし・・・?」と見えてしまうかもしれません。最近ではペット緑茶もにごり系の濃い緑のお茶が人気があるので余計ですよね。

種類 水色
浅蒸し茶 薄い黄色(黄金色)
深蒸し茶 濃い緑

香りと味のちがいは?

香りは、「浅蒸し茶」は清涼感のある青い香り。「深蒸し茶」はやわらかく芳ばしい香り(火香)がします。深蒸し茶は長く蒸すことで茶葉本来の香りが少なくため、火入れ工程で「火香」を補い芳ばしい香りになります。

は、「浅蒸し」は渋みと旨味があり、「深蒸し」は渋みは少なく甘味やコクがあります。

種類 香り
浅蒸し茶 清涼感、青香 渋み、旨味
深蒸し茶 香ばしさ(火香) 甘味、コク

歴史は浅蒸し茶。生産量は深蒸し茶。

歴史は、「浅蒸し茶」の方が古く、江戸時代より前からありますが、「深蒸し茶」は昭和30年代になってからできた製法です。でも最近では、深蒸しの生産量の方が多く、スーパーなどで販売されている煎茶はほとんどが深蒸し茶です。

代表的な産地では、浅蒸しなら宇治茶。深蒸しなら静岡茶です。

「浅蒸し茶」と「深蒸し茶」どちらがいい?

浅蒸し茶」は、お茶の抽出にも時間がかかり、おいしく淹れるために気を使いますが、2煎目でもおいしさがかわらず、その抽出する時間によって香りや味を調整して楽しむことができます。

また、茶葉自体が大きいので、茶殻をおひたしなどの料理にして食べる場合に向いているのは「浅蒸し茶」です。

深蒸し茶」は、だれでも簡単においしいお茶が淹れやすく、抽出時間が短くても甘味やコクが出やすい反面、2煎目になると急に味が落ちてしまうこともあります。

でも、茶葉が細かい「深蒸し茶」は、粉茶葉もいっしょに飲んでしまうので、カテキンなどの栄養素も摂りやすいお茶です。

浅蒸し茶」と「深蒸し茶」。
お茶はもちろん好みなのですが、それぞれの特長を知っていれば、その時々にあったお茶を楽しみ方ができるかもしれませんね。

今日もお茶で素敵な一日を。

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