【釜炒り茶とは?】九州で作られる稀少な緑茶

緑茶のひとつ『釜炒り茶(かまいりちゃ)』とは、どんなお茶でしょうか?

煎茶、玉露、抹茶、ほうじ茶などいわゆる緑茶は、摘み取った生茶葉に熱を加えて発酵(酸化)を止めて作る『不発酵茶』です。
生茶葉は葉に含まれる酵素の働きで、そのままにすると発酵(酸化)が進み枯れて褐色になります。発酵(酸化)を止めることで茶葉の緑色が残っているのが特徴です。
ちなみに、烏龍茶は半発酵茶、紅茶は発酵茶です。

『釜炒り茶』は、不発酵茶である緑茶の一つ。正式には『釜炒り製玉緑茶』といいます。

<緑茶の種類>
煎茶、深蒸し煎茶、玉露、碾茶(抹茶)、かぶせ茶、玉緑茶、釜炒り茶(釜炒り製玉緑茶)、ほうじ茶、玄米茶、番茶

釜炒り茶は発酵(酸化)の止め方がちがう

生茶葉に熱を加えて発酵(酸化)を止める緑茶ですが、その方法として蒸気で蒸したものを『蒸し製』、釜で炒ったものを『釜炒り製』といいます。

この釜で炒る方法『釜炒り製』を使って作った緑茶が『釜炒り茶(釜炒り製玉緑茶)』です。
中国の緑茶では釜で炒って作るのが主流の製法ですが、日本では『釜炒り製』は稀少となり、煎茶、玉露、抹茶などの日本茶は蒸気で加熱する『蒸し製』が主流です。

<釜炒り製緑茶>
釜炒り製玉緑茶

<蒸し製緑茶>
煎茶、深蒸し煎茶、玉露、碾茶(抹茶)、かぶせ茶、玉緑茶、ほうじ茶、玄米茶、番茶

九州で作られている『釜炒り茶』

釜炒り茶の生産は主に、九州の佐賀県、長崎県、熊本県、宮崎県や、四国の高知県でも作れています。また、九州では、炒る時の釜を傾ける角度がちがいよって嬉野製、青柳製に分かれます。

<嬉野製(うれしの)>
・地域:佐賀、長崎
・釜を45度傾けて炒る

<青柳製(あおやなぎ)>
・地域:熊本、宮崎
・釜を水平にして炒る

釜炒り茶の茶葉は、釜の中でかくはんしながら乾燥させるので、煎茶や玉露などの針状のものとはちがい、くるっと丸まっているのが特徴。釜を傾けて作る佐賀、長崎の嬉野製の方がより茶葉が玉状になります。

茶葉が丸まっているお茶というと、玉緑茶や静岡のぐり茶もよく知られていますが、どちらも蒸して作る『蒸し製』の緑茶です。

香りが特徴であっさり

釜炒り茶は、釜で炒ることでつく『釜香(かまか、かまこう)』という香りが特徴。
芳ばしい香りで、その香りは煎茶にはない少し独特でいい香りです。

水色は明るめの黄色で、味わいは渋みや旨味がありますが、後味はとてもあっさりしています。
深蒸し茶を飲みつけていると、少し物足りなさを感じそうですが、日本茶と中国茶をコラボしたような香りや味わいは、釜炒り茶ならではです。

現在では九州でも「蒸し製玉量茶」が主流となり、「釜炒り製玉緑茶(釜炒り茶)」は、玉緑茶の5%程度しか作られていないようです。
稀少な日本茶『釜炒り茶(釜炒り製玉緑茶)』の香りと味わいを愉しんでみてはいかがでしょうか。

今日もおいしいお茶で愉しい、一日を。

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