一保堂茶舖、京都寺町本店で限定販売している「くき玉露」<100g缶>
茶器のイラストが描かれた「プリント布巾」とセットで2,050円。
玉露と聞くとコクや旨味が特徴の高級茶葉ですが、その割にはなんだか安いので店員さんに聞いてみると、「葉から作られる玉露とは違って、加工の工程で新芽の茎を選別した茎茶(くきちゃ)で、葉と比べるとすっきりした感じですよ」と。
茎茶とは
茎茶とは、玉露や煎茶を作る工程で、新芽の<茎>だけを抽出したお茶で、さわやかな香りと甘みが特徴です。といっても、完全に茎だけを選別するのは不可能で、若くて柔らかい一番おいしいとされる玉露や煎茶の芯の部分も混ざっています。
茎茶の茶葉は茎の部分が主なため、全体的には白や薄い緑色のものが大部部分を占めています。
茎が棒状のため「棒茶」とも言われ、特に艶のある鮮やかな緑の茎茶ほど甘みがあります。
その中でも玉露や高級な煎茶の茎は「雁が音(かりがね)」や「白折(しらおれ)」と呼ばれ、その独特の旨味と風味から珍重されています。
旨味、香りは茎茶の方が豊富?
茎茶のように、仕上げ加工中に生じる「副産物」のお茶を業界では『出物』と呼ばれ、茎茶の他に芽茶、粉茶、番茶があります。
茎茶は茶葉の生産地やその周辺以外では比較的入手は困難ともいわれ、日本茶としてはマイナーな存在です。
需要と供給の極端なアンバランスのため価格が安く、そのため「二級品」とされがちですが、甘味・旨味・香り成分は葉よりもむしろ茎の方が豊富であり、茶の抽出源として優れた面も多い部位です。
茎茶は、お湯の温度を気にせず、熱湯で淹れられる手軽さと値段が安いことから、人気があります。
『くき玉露』はすっきりした玉露
今回購入した「くき玉露」は一保堂が通常販売している<玉露雁ヶ音(ぎょくろかりがね)>と同じものです。手軽に熱湯で淹れてみましたが、もちろん玉露特有のうまみと甘みは感じます。
玉露<葉>と比べると、それほど濃厚ではなくすっきり、さっぱりとした味わいの方が印象的ですが、玉露らしさを楽しめます。玉露と同様に60度程度にさましたお湯でじっくり淹れても楽しめるようで、その方が本来の玉露のうまみと甘みが増すようです。
自宅で気軽に飲める「茎茶」の性格としては、熱湯でさっぱり飲む方がいいのかも・・・。
一保堂の『出物』たちには、「玉露芽茶」や「玉露粉」もあり、お値段もお手頃です。よくせんべいやおかきなど製造過程で割れてしまったものを、味は確かですが割れせん(B級品)として安く売られています。
簡単に言うとお茶の『出物』もそういうものでしょうか。
他の『出物』たちも今度ためしてみたいものです。
今日もお茶で素敵な一日を。