野菜は洗ったり、皮をむいてから調理して食べていますが、茶葉はそういうわけにはいきません。
茶葉に農薬がついていたら、そのままお茶に溶け出してものを飲んでしまうし、抹茶や粉茶などは茶葉そのものを食べてしまいますから、少し心配になりますよね。
お茶の農薬。
散布は、通常、摘み取る時期の一定期間前までに行われます。
散布された農薬は蒸発や雨で洗い落とされたり、日光による分解などで、摘み取り時期には、ほぼ消失しているようです。
国では食品に使う農薬や、農薬の散布量には、厳しい基準が定められていて、国内で流通する食品は、都道府県が年度ごとに検査をおこなっています。
また、2015年5月から厚生労働省は、すべての農薬を対象に、一定の量を超えて農薬が残留する食品の販売を禁止する【ポジティブリスト制度】を施行しています。
ポジティブリスト制度についてのパンフレット:厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/dl/060516-1.pdf
お茶の「残留農薬基準」とは
超えてはいけない農薬の基準を「残留農薬基準」といいます。
食品衛生法に基づき厚生労働大臣が定めています。
お茶に使用できる農薬の種類は、100種類近くあり、それぞれの農薬について基準がきまっています。
お茶の残留農薬基準値
http://m5.ws001.squarestart.ne.jp/zaidan/fooddtl.php?f_inq=13200
これは、人が食物で使っている農薬を毎日一生涯にわたって摂取し続けても、健康への悪影響がないと思われる量【一日摂取許容量】から算定しています。【一日摂取許容量】は、動物実験の結果、問題ないと考えられる農薬の量の1/100です。
毎日に色々なものを食べたり、飲んだりしますから、その中の農薬が残っていて、それらをすべて摂取してもを超えないような数値に定められています。
一人が一日に食べるであろう量(フードファクター)も、それぞれの食材で決められています。
お茶の場合は、3gです。煎茶なら一人分を淹れるときの茶葉は2gですから、2gで2杯飲めるとしてお茶なら一日に3杯です。
一日に3杯のお茶を飲むことを基準とした「残留農薬基準」となっています。
お茶の残留農薬基準は、他の農作物の基準より高い
少し気になるのは、お茶の残留農薬基準は、他の農作物の基準より高いということ。
お茶の農薬として使われているのは、100種類以上ありますが、その中で、例えば、大豆とお米の基準を比べてみると、
農薬 シラフルオフェン
お茶:80ppm 大豆:0.1ppm 米:0.3ppm
農薬 テブコナゾール
お茶:50ppm 大豆:0.3ppm 米:0.05ppm
農薬 クロラントラニリプロール
お茶:50ppm 大豆:0.2ppm 米:0.05ppm
お茶の方が、1000倍多いものもあります。
お茶は、茶葉を直接食べるものではなく、一度にお茶に使う量も少ない。
そして、抽出するものだから、茶葉に残っている農薬は溶け出しにくいという理由のようです。
もちろん、もしこの基準を超えていたら流通できないということで、
この数値の農薬が残留しているということではありませんよ。
ちなみに、EUの基準の方が厳しく、お茶の場合500倍差があるようです。
最近、茶葉を粉茶にして飲んだり、食べたりすることもトレンドになっています。
気になる方は、食べるのに使うお茶は、無農薬のお茶や、一定期間農薬や、化学肥料を使っていない有機栽培のお茶を使った方がいいかもしれませんね。
新茶は農薬を使っている量が一番少ない?
新茶となる一番茶、4月の末から5月の上旬の摘み取りに掛けて育つ茶木には、まだ害虫も少ない農薬の散布も少ないようです。
二番茶以降は、夏にかけて育ち摘み取ります。この時期は害虫が増える時期なので、農薬の散布量も多くなります。
新茶を選ぶという方法も、残留農薬摂取を減らす一つの方法です。
節度をもってお茶を楽しむ
茶木はツバキ科、虫がつきやすい植物です。
実際に、ぎっしり埋まった茶畑を見ると、ここに虫は集まるし、病気の木でもでて広まったら大変。
茶農家のご苦労を感じます。
安価においしいお茶を流通させるためには、農薬は必要なのかもしれません。
どんなものでも過剰摂取は禁物。
毎日の生活の中で、節度をもってお茶を楽しむことが大切です。
そして、用途に応じて新茶や無農薬茶など茶葉を選ぶのも、生活の知恵です。
今日もお茶で素敵な一日を。