『日本茶の日』が1年に二日あるのをご存知でしょうか?
その二日は、【10月1日】と【10月31日】。
『日本茶』とは、緑茶のこと。
煎茶、玉露、抹茶(てん茶)、かぶせ茶、玉緑茶、玄米茶、ほうじ茶、番茶などが日本茶です。
日本茶というと、新茶の出回る4月末〜5月のをイメージしますが、10月が『日本茶の日』というのはちょっと不思議。
昔は、新茶といえば秋だったそうで、初夏につまれた茶葉は壺に入れて秋まで低温貯蔵していました。寝かせることで新茶特有の青臭さが抜け、まろやかでコクと深みのある茶葉に生まれ変わります。
その生まれ変わった茶葉を、その年の「新茶」としたそうです。徳川家康もこの深い味わいのお茶を好んだとか。
10月1日の『日本茶の日』
天下人豊臣秀吉が、京都・北野天満宮境内で催した大茶会「北野大茶湯」の日が由来とされています。
このお茶会は開放的で、大名や公家、茶人だけでなく、茶の湯に熱心であれば、庶民も外国人も身分問わず参加できるものだったそうです。高価な茶器類なども展示されたとか・・・。
身分に関係なく、お茶を広めた日ということから、飲料メーカーの伊藤園によって記念日に制定され日本記念日協会に登録されています。
日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/
10月31日の『日本茶の日』
臨済宗の開祖・栄西(えいさい)が宋から日本茶の元になる茶種とその淹れ方を持ち帰ってきた日が由来とされています。どうやらこのお茶の淹れ方が現在の碾茶(抹茶)の原型となっているらしいです。
お茶自体は、平安時代から身分が高い人たちの間で伝わっていたようですが、かなり苦いもので薬や眠気覚ましとして使われていました。
嗜好品としてのお茶とはだいぶ違っていたとか。栄西が改めて新しいお茶やノウハウを持ち帰ってから、嗜好品となり、庶民の間でもお茶が親しまれ、発展していったようです。
栽培や効用等お茶に関する日本最古の書「喫茶養生記」もこの栄西によって書かれたもので、お茶の歴史に関して大切な文献となっています。
記念日は、国や自治体などの機関による認定が必要なものではなく、法的な制約があるわけではないので、2つの『日本茶の日』は、このような背景から、どっちが本物ということはなくて、どちらの日もお茶にまつわる歴史的イベントを記念した日なのです。
2つの『日本茶の日』がある秋にもお茶を楽しむ
日本茶を広め、発展に大きく寄与したこの2つの記念日「日本茶の日」が10月にあるのは面白い偶然ですが、記念日にまつわる歴史や背景もあって、秋になるとお茶のイベントも多く開催され、抹茶やほうじ茶などお茶系スイーツの新製品も続々発売されています。
温かい飲み物も恋しくなってくる季節でもありますね。
お茶のイベントやスイーツを堪能して食欲の秋を満喫するのもあり、お寺や庭園、美術館などで抹茶をいただきながら芸術の秋を楽しむのもあり。そしてお家でゆっくり、急須で淹れた緑茶で秋の夜長を過ごすのもいいかもしれませんね。
秋の新茶の季節ならではの、深みのあるまろやかなお茶の風味を味わってみては。
今日も美味しいお茶で愉しい、一日を。