抹茶アイス、抹茶ケーキ、抹茶チョコ、抹茶パン、抹茶プリン、抹茶ラテ・・・。
スーパーやコンビニでも『抹茶』の商品があふれています。抹茶はもはやブームを越えて定番フレーバーとして市民権を得ているようです。
普段から、好んで抹茶フレーバーのチョコ、パン、プリンなどを選んで食べている方も多いはず。もちろん自分もその一人。
でも、今あなたが食べているその『抹茶』の味って、実は本当の抹茶の味じゃないかもしれません。
『本物の抹茶』の需要は延びていない?!
抹茶の原料となる『碾茶』の生産量は毎年延びていて、2017年は過去最高だったそうです。
身近なコンビニ各社のスイーツをみても、新作『抹茶系スイーツ』がほぼ月2ペースで発売されているくらいなので、需要の高まりは想像できます。
日本が誇るスーパーフード『抹茶』の需要が延びていることは、お茶好きとしてうれしいこと。でも、需要が延びているのは、実は『加工用抹茶』だけのようです。
以前、yahooニュースで「抹茶ブームの中、お手前用抹茶を主に生産している『宇治』では抹茶の需要は延びていない。」という驚かされる記事がありました。
【特集】抹茶ブームなのに宇治では「危機感」 そのわけは?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180531-10000001-mbsnews-l27
『加工用抹茶?』
ちょっと聞き慣れない言葉ですが、抹茶には、お茶会など茶筅で点てていただくお抹茶に使用する『お点前用』とは別に『加工用抹茶』という菓子などに使用する安価な業務用の抹茶があります。
『お点前用抹茶』が本物の抹茶だとするならば、『加工用抹茶』は抹茶風粉末茶という感じかもしれません。
『加工用抹茶』と『お点前用』の価格差100倍?!
『お点前用抹茶』と『加工用抹茶』には価格はもちろんのこと、香りや味など抹茶の質にも大きな差があるといわれています。
実際、『お点前用抹茶』と『加工用抹茶』、価格的にどのくらいちがいがあるのかというと。
『お点前用抹茶』 100gの価格
3,000円〜15,000円(100g)
『加工用抹茶』 100gの価格
300円〜1,500円(100g)

お点前用の中にも価格差がありますが、加工用とはかなりの差があることがわかります。お点前用の抹茶には高額のもので3万円(100g)を超えるものもあるので、その差は100倍。
ひとえに『抹茶』といっても、色々あるわけです。
でも、価格を考えれば、100円程度で手軽に買える抹茶アイスや抹茶菓子に『お点前用抹茶』。すなわち『本物の抹茶』はそもそも使えないことはわかると思います。
価格の差はどうしてできる?
本来、抹茶(お点前用)の生産にはとても手間と時間がかかります。
抹茶の原料となる『碾茶(てんちゃ)』は、旨味が増すように、20日間以上茶葉に日光が当たらないように覆いをして栽培します。覆いは茶葉に触れないようテントのような棚を作り、よしずや寒冷紗などでおこないます。

茶葉の摘み取りは、一番茶の新芽だけを丁寧に手摘みし、蒸し乾燥して荒茶にしたものから茎や葉脈を取り除いて碾茶にします。
碾茶は半年以上低温で貯蔵・熟成させた上、茶師によって選別、合組されたものが石臼で挽かれて抹茶になります。
このような伝統的な抹茶作りは手間がかかり、一度の生産量も少ないために価格も高くなるわけです。

『加工用抹茶』の場合は、これら手間のかかる製造工程を簡略化しています。
例えば、覆いを茶木に直に被せたり、覆いをする期間を短くしたり、一番茶だけでなく、二番茶も使用したり、手摘みではなく機械で摘み取り、低温熟成させる期間を設けない。など、そして大量生産することでコストを下げている訳です。

加工用抹茶の味も人気?
もちろん、『加工用抹茶』の品質にも、お手前用に近いものから粉末茶以下のようなものまで色々です。
例えば、量販抹茶スイーツでも老舗茶舗の名が入っている場合は、ある程度の質の加工用抹茶が使用されているはずです。
最近のコンビニの抹茶スイーツのクオリティもかなりのもので、自然な抹茶の風味が味わえて、これで150円かと驚かされる商品もたくさんあります。

逆に、これはあきらかに『抹茶風味』ではない。と感じる抹茶フレーバー商品が増えているのも確か。
原材料には、『抹茶』と記載されているのに、香りが明らかに人工的なものや、酸っぱい香りがしたり、ただひたすら『苦い』だけのもの。これ『草?』と言いたくなるものまで様々です。
そして、ちょっとコワいのは、そんな商品に関するツイートが意外と好評価なとき。
「この抹茶味好き〜」
「やっぱり抹茶はこれだよね〜」
もしかして、この抹茶ブームの中で、抹茶の味は、本来の味とちがうものまで『抹茶の味』として認められ、人気になっているのかもしれません・・・。
本物の『抹茶』でリセットして
本物の抹茶の味を味わうために、老舗茶寮の高級抹茶スイーツしか食べない。安価な抹茶商品は選ばない。というのが一番なのでしょうが、抹茶好きは、色々と試してみたくなるもの・・・。

そして、良いも悪いも色々な抹茶ものをいただいていると、本来の抹茶の風味がわからなくなることがあります。
そういう時は、お抹茶を自分で点ててみたり、高級抹茶の粉の香りを嗅いでリセットするのがオススメ。やはり、本物の抹茶の香りは、とても甘く、奥深くいいものです。
また、抹茶のスイーツが好きだけど、『点てたお抹茶は口にしたことがない。』という方も多いはず。ぜひ、一度でもいいから、老舗茶寮などで『お抹茶』を味わってみてください。
もしかしたら、いままで『抹茶』の味と思っていたものとは、まったく違っているかもしれませんよ!
日本茶の文化の代表でもある『抹茶』。本物の抹茶の味は大切にしたいものですね。

・おいしいお茶が飲めるお茶処
・おいしい抹茶は京都宇治だけ?覚えておきたい【抹茶の産地】
今日もお茶で素敵な、一日を。