『世界農業遺産 茶草場農法』。スーパーで並んでいる煎茶の一つに、このような表記のある商品がありました。
聞き慣れない言葉ですが、世界遺産とか書かれてあるとちょっと特別なお茶なのかと思ってしまいます。早速購入してみました。
茶草場農法は、「ちゃぐさば のうほう」と呼ぶようです。
世界農業遺産とは?
世界農業遺産。「世界遺産」の農業版のような感じですが、「世界的に重要な農林水産業を営む地域」を認定したもの。国際連合食糧農業機関(FAO)が、認定を希望する地域からの申請を受けて審査の上、認定します。
農林水産省のHPにはこのような説明がありました。
世界農業遺産及び日本農業遺産は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、将来に受け継がれるべき重要な農林水産業システムを認定する制度です。
わかるようなわからないような・・・。
世界で20ヶ国50地域が認定されていて、静岡県の茶草場農法は2013年にこの1地域として認定されています。他に、石川県能登の里山里海、岐阜県長良川の鮎など、日本では11地域が認定されています。
能登の里山里海というと白米千枚田。白米千枚田の風景を思い出すと、なんとなくこの制度がイメージできそう。
農林水産大臣が認定する日本農業遺産という制度もあり、三重県鳥羽・志摩真珠養殖、三重県尾鷲のヒノキ林業など、8地域(H29年3月)が認定されています。
世界農業遺産について:農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/giahs_1.html
茶草場農法とは?
2013年に世界農業遺産に認定された静岡県の茶草場農法(ちゃぐさば のうほう)。
茶畑の周りに自然に生えているススキなどの草を刈り取って、お茶の収穫が終わった秋から冬に茶畑に敷く農法で、土が豊かになることでおいしいお茶になるようです。刈り取るための草が生えている場所を「茶草場(ちゃぐさば)」と呼びます。
茶草場(ちゃぐさば)には、絶滅が心配される種がある「秋の七草」(カワラナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ、ハギ、ススキ、クズ)や稀少植物を含む多くの草花が見られ、生物多様性が保たれていることも、世界農業遺産に選ばれている理由のようです。
茶草場農法として、静岡県の掛川市、菊川市、島田市、牧之原各市と川根本町の4市1町が認定されています。
静岡の茶草場農法
https://www.chagusaba.jp/
茶草場農法のお茶を飲んでみた
購入したのは、『五明茶(ごみょうちゃ)』という100g、1,000円の商品。静岡県掛川市五明のお茶。
パッケージには『星降る五明の丘』と書かれていますが、五明の茶畑から見える星空がとてもきれいなことで知られていて、1994年には茶畑から観測している時に新彗星が発見されています。
茶葉は、「めいりょく」という品種の深蒸し煎茶。
「めいりょく」は、「やぶきた」と「やまとみどり」から生まれた品種で、標高の高いところに適した寒さや病気にも強い品種。
水色は明るく、クセのない清涼感のある味が特徴のお茶です。
淹れて味わってみると、甘みや旨味は控えめで、渋みがしっかりしている印象。
爽やかな香りで、後味がさっぱりしているので、油の多い食事や、甘いものを食べたあとに合いそうです。
『茶草場農法』による味のちがいまでは、はっきりと感じることはできないのかもしれませんが、日本一の茶処、静岡のお茶を支えているのは間違いなさそうです。
なにより、絶命が危惧される草花にもやさしい茶畑で作られているお茶と知って頂いていると、少し気持ちもおだやかになれそうです。
世界農業遺産に認定された静岡『茶草場農法』のお茶を味わってみては。
今日もお茶で愉しい、一日を。