落語『茶の湯』。
蔵前のお金をためるだけが趣味だった「ご隠居」と若い衆「定吉」が、根岸の侘び住まいで暇つぶしに『茶の湯』をはじめるというお話。

ご隠居さん、退屈ですね。

あ〜 退屈だな・・・
なんかやりたいね。
なんかやりたいね。

なんかやりたいならね、ご隠居さんどうですか、ここにね、前に住んでいた人がよほど風流な人と見えて囲炉裏が切ってありますよ。
茶の湯をやってたんですよ。
茶の湯をやってたんですよ。
茶の湯どうですか?

茶の湯な・・・。
いい趣味だな。
ん〜・・・ あたしやろうかな、茶の湯。
いい趣味だな。
ん〜・・・ あたしやろうかな、茶の湯。

隠居さん、茶の湯ごぞんじでしょ?

・・・・・・・。
知らないことはないね。
幼少のときにやったからね。
知らないことはないね。
幼少のときにやったからね。

・・・・。
幼少の時っていつごろですか?
幼少の時っていつごろですか?

そうだね、母親の乳をすいながら・・・
ん〜、だから今ちょっと、ど忘れしたな・・・。
ん〜、だから今ちょっと、ど忘れしたな・・・。

そうですか。
私、若旦那の点ててくれたお茶を飲んだことがありましたから、知ってますよ。
私、若旦那の点ててくれたお茶を飲んだことがありましたから、知ってますよ。

なんでもあれ青いんですよね。

そうそう・・・あれね・・・・。
確かあれは、青きな粉だろな。
確かあれは、青きな粉だろな。

そうそうそう青きな粉、青きな粉ですよ。
それからね、なんだか泡がたちましたよ。
それからね、なんだか泡がたちましたよ。

泡だよ、あれはムクの皮だよ。

ムクの皮ですね・・・。
それからあの〜、茶は点てたとしてですね・・・、
なんかこう、つまむ羊羹とか甘いもんがありましたね。
それからあの〜、茶は点てたとしてですね・・・、
なんかこう、つまむ羊羹とか甘いもんがありましたね。

羊羹はもったいないね、おまえ。
だからね、サツマイモを買っておいで。
だからね、サツマイモを買っておいで。
サツマイモを買ってくると、
定吉がすり鉢ですりまして、おちょこで抜こうとしたのだが、へばり付いてぬけない。

どうも困ったね。

ご隠居さん、如何です、灯し油で抜いたら。

あ〜 灯し油か!
あれならつるっと滑るだろ・・・。
ん、やってごらん。
あれならつるっと滑るだろ・・・。
ん、やってごらん。
これはすべるわけで、ローソクの代わりの灯し油。
これをおちょこになすり付けて抜くと、灯し油が照りになって、なんともいえない、実にいいお菓子のよう・・・

ああ、すっかりできたな。
さ、定吉、これから、湯をおこそう。
さ、定吉、これから、湯をおこそう。
さてどうなるやら・・・。
落語『茶の湯』を聴いてみる。
<三遊亭圓楽 (五代目)の『茶の湯』>
<三遊亭金馬(三代目)の『茶の湯』>
<6代目三遊亭圓生の『茶の湯』>
今日もお茶で愉しい、一日を。