『荒茶(あらちゃ)』とは、いったい何でしょうか? 普段、飲んでいる煎茶などとはちがうものなのでしょうか?
『荒茶(あらちゃ)』は、お店で販売する製品になる前の段階まで加工されたお茶のことで、製品としてはまだ完成していない半製品状態のお茶ことです。
普段、お店で購入する煎茶などの緑茶には『荒茶』に仕上げ加工が施されています。
お茶の製造(作り方)は、大きく『荒茶加工』と『仕上加工』にわかれており、畑で摘まれた茶葉には、まず、荒茶加工をおこないます。その荒茶加工までおこなったものが『荒茶』です。
荒茶加工とは
『荒茶加工』は、茶畑から摘んだ茶葉を保存できる乾物状態まで加工する工程です。
茶畑で摘まれた生の茶葉は、鮮度が落ちないその日のうちに加工場に運び『荒茶』に加工されます。お茶の『味・水色・香り』は、ほぼこの荒茶加工できまってしまいます。
『荒茶』になった茶葉は製茶工場に運ばれて『仕上加工』をおこないます。
『仕上加工』は、お茶の味や香り、茶葉の大きさを整えて消費者が口にできる『煎茶』などの緑茶製品(お店に並ぶ商品)として完成させるためにおこなう工程です。
荒茶ができるまでの工程
茶畑から摘み取った新鮮な茶葉を保存できる状態まで加工する荒茶加工ですが、荒茶加工の工程は、大きく『蒸す・揉む・乾燥』にわかれています。
荒茶の加工は加工場を持つ個人の茶農家や、複数の茶農家が共同で持つ加工場で加工されます。摘み取った茶葉は新鮮なうちに、おおよそ6時間程度かけて荒茶に加工されます。
【荒茶加工の工程】: 1.蒸す > 2.揉む > 3.乾燥 > 『荒茶の完成』
1. 蒸す(蒸熱)
摘み取った茶葉(生葉)はその日のうちに高温の蒸気で蒸します。
蒸すことで、茶葉の青臭みを取り除き、酸化酵素の働き(発酵)を止めて茶葉の変色を防ぎます。
この蒸す工程はお茶の味、水色、香りも決める大切な工程です。『深蒸し茶』はこの蒸す時間を長くしたものです。
蒸した茶葉は風を当てて冷却しながら葉の表面の余分な水分を取り除きます。
2. 揉む
温風をあてながら茶葉を揉みます。
揉むことで水分をとばしながら、茶葉を柔らかくして葉からお茶の成分が出やすいようにします。そして、茶を乾燥させながら茶葉によりをかけて細い針のような形状に整えます。
揉む工程は『①粗揉(そじゅう) > ②揉捻(じゅうねん) > ③中揉(ちゅうじゅう) > ④精揉(せいじゅう)』と分かれています。
①粗揉(そじゅう):
熱風を当てて揉みながら葉の中の水分を乾燥させる
②揉捻(じゅうねん):
葉に重みをかけながら揉み、葉と茎の水分を均一にしながら、葉の組織を壊してお茶の成分を出やすくする
③中揉(ちゅうじゅう):
円筒に入れて回転させながら揉み、熱風を当ててさらに乾燥させます。
④精揉(せいじゅう):
重みをかけながら揉み乾燥させながら、茶葉によりをかけて細い針のような形状に整えます。
3. 乾燥
形が整ったものを、乾燥機で十分に乾燥させて『荒茶』が完成します。
『荒茶加工』がよくわかる動画(JAしみず)
『荒茶』には素朴な香味があり、お茶農家さんではこの『荒茶』は普段からお茶として飲まれています。お店ではなかなか手に入れることができない荒茶ですが、Amazonや楽天などで販売されているものあるのでチェックしてみてはいかがでしょうか。
今日もおいしいお茶で愉しい、一日を。